土曜日, 7月 18, 2009

カズオ・イシグロ著「わたしを離さないで」を読んで。

主人公である、キャシーが回想する英国は片田舎の全寮制の学校をイメージして読み始める。同僚や先生とのたわいのない会話や日々の出来事、同僚のルーシー、トム、クリシーやロドニーと。青春恋愛小説を想像して読み進めていくうちにふと出会う言葉が、それは「提供者」「介護人」という。行き成り物語りをSFの世界に引き込む2つの言葉の真相をという具合に頁を繰る。そして物語の世界はクローン人間なる臓器提供者と介護人に分類された人間のものであった。作者の作品は、今回初めてであるがこの物語は周到に綿密に計算された他に類を見ない小説だ。限られた生の中で藻掻く、生きて、恋してが、現代社会に生ける我々の境遇を垣間見る思い出ある。

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