日曜日, 4月 08, 2007

ソルトマーシュの殺人 を読んで。

先日本屋で手に取った、世界探偵小説全集の中の1冊グラディス・ミッチェルの「ソルトマーシュの殺人」である。題名のソルトマーシュとは、イギリスの片田舎の村の名前である。ブラッドリー婆さんは心理学者でもある探偵である。村の祭りの情景がこと細かく描写され前半は、ミステリーとはかけ離れた「怠い」という感じだ。そのうち知らないうちに殺人事件があったと聞かされるというように、事件に入っていく語り手の僕は、協会の副牧師である。その語り手と婆さん探偵が殺人事件を追いつめる。何故かインパクトが無い。J・ディーヴァーのジェットコースター的展開とは全く違った、また愛読する乱歩の物とも違う。最後まで読者は、犯人を特定できない。この手法はまた独特だ。物語の山場を山として描写せず、すらっと流す。1920年代の作品でG・ミッチェルの作品は暫く日本で翻訳されることが無かったという。

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