月曜日, 1月 03, 2011

加藤廣著「信長の棺」上巻を読んで。

2011年最初の一冊は、表題の作品である。今年の正月は、穏やかな天候にも恵まれ静かな正月である。さて著者の作品は始めてである。最近歴史ミステリーが、面白い。昨年読んだ写楽のミステリーは最高だ。今回本能寺の変にて明智光秀に奇襲を受け殺害された信長について、家臣である大田牛一なる主人公が、日々信長に使え度々記した日記を元に「信長記」書くにあたり、調査する中で信長の遺骸が見つかっていない謎に迫るという設定だ。光秀が乱を決起する前、公家の近衛前久(さきひさ)と茶屋四郎次郎邸にて頻繁に会っていて、前久が光秀に決起を促したとするくだりや桶狭間での今川軍を討伐した際の木下藤吉郎(後の秀吉)の働きについて、すでに家康との合意の下に行われたという説など面白い記述があり歴史の裏側に思いを馳せることができる。信長亡き後、九州征伐に西軍していた秀吉が、急遽駆けつけ光秀を討つくだりは、やはり事前に家康との裏取引があったという面白い説だ。時代は秀吉一色に染まってゆく。

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