土曜日, 8月 30, 2025

東野圭吾著「透明な螺旋]、 帝都大学准教授の湯川の正体が明かされる。孤独な女性と同棲していた男性の死体が発見された草薙と内海は懸命に捜査に臨んだが女性の生い立ちに絡む複雑な状況が事件解決へのヒントになった。このような血族関係の絡むプロットは珍しくもない。
東野圭吾著「虚像の道化師】、7編からなる短編集である。どの作品も帝都大学准教授の湯川学と関連ずけたプロットと科学的根拠を殺人に紐ずけた作品でおもしろく読んだ。著者の創造力に乾杯だ。
宮島未奈著「成瀬は天下を取りにいく」、 滋賀県大津市に住む中学生の成瀬あかりは、持ち前の何事にもめげない性格で自分で考えた事を逡巡することなく積極的に目標に向かって進んでいく。私は二百歳まで生きると言ったり、頭を坊主刈りにして髪の毛の成長を観察したり、Ⅿ1グランプリをまねて漫才コンビを組んだり正に破天荒な行動が成瀬あかりだ。何事にもめげず自分の考えに躊躇せず積極的に行動する彼女の生き方に感動し自分もそうありたいと思います。

木曜日, 7月 31, 2025

黒川博行著「連瑣」、文庫本にして700ページもある超大作である。著者の作品はほぼ全部読んでいて本屋で偶然見つけて即購入した、期待して読んだが少しがっかりさせられた。以前の著作に比べてというところか。ある社長の失踪により捜査が開始されそこにヤクザが絡みさらに殺人の連鎖が続く京橋署の防犯係の二人、磯野と映画オタクの上阪の丁々発止のやり取りは見逃せない。複雑な殺人プロットとそれを追う刑事の忍耐で解決に迫る警察小説だ。
宮部みゆき著「R.P.G.」、所田良介48歳は、食品会社の課長だ、一美という娘を持つ3人家族だが家庭での立ち位置は浮いている存在だった。、浮気性でネットの世界で家族ごっこしていた、そしてある日殺害された、取調室で家族ごっこしていた二人とマジックミラー越しに娘の一美を交えて延々と取調官とのやり取りが続く、そして最終的に警察のトリックが功を奏し犯人が浮かぶ。
青山美智子著「赤と青とエスキース、茜がワーホリでメルボルン出会った人たちの中に一人の画家の卵がいた名前はジャック・ジャクソンという水彩画の得意な画学生その彼の友達のブーに頼まれモデルを努めることになった。絵は完成まじかの下絵エスキースと言われる作品だ。この絵エスキースを回り関連した人たちの人生が色んな形で展開していく面白さを描いている。
今野敏著「任侠楽団」、今までこのシリーズを一冊読んでいますが、今回は第6弾だそうです。例によって阿岐本組の代貸日村を悩ませる問題が発生、組長の阿岐本が引き受けたのは楽団の内部対立の解消という厄介な仕事で楽団事務所へ調停コンサルタントとして乗り込むことになった。ドイツから来たエルンスト・ハーンの傷害事件が発生し警視庁から刑事も派遣されヤクザと刑事のタッグを組み事件解決へ望むという前代未聞の捜査が始まる。
笹沢佐保著「お助け同心巡回簿」、江戸は北町奉行所の同心で尾形左門次38歳は八丁堀に妻子共に住む高積見回り同心だ。尾形は別名お助け同心とも異名を取る同心で剣は直心影流の達人だ。そんな尾形の所へ舞い込む事故や問題をスマートに解決する物語12章を集めた短編集で読み応えがありほっこりする。

月曜日, 6月 30, 2025

笹沢佐保著「家光謀殺」、徳川家光の上洛に際して影の警護を依頼された宮本武蔵以下由依正雪、芥川七郎兵衛槍術を得意とする丸橋忠哉そして祈祷師綾糸の面々だった。30万に及ぶ大行列を見守りながら敵と対峙し命を賭して守り抜く気概とチーム決断力を綴った物語だ。
笹沢佐保著「雪に花散る奥州路」、4遍に及ぶ時代物である。何も渡世人ヤクザ者の悲哀と孤独を背に街道をゆく淋しい姿である。それでも旅の途中で事件に巻き込まれ奮闘する姿は本人の心の中を表出せずにはいられない。死と背中合わせの旅は果てしなく続くことだった。
笹沢佐保著「絶望という道連れ」、叔母の親友の不動産屋の社長を絞殺した田宮と夫を毒殺した真理子、二人の絶望的な逃避行が始まった逃亡先で絡んでくる人間が次々と殺害される。絶望と道ずれの中でも二人の間は急速に深まっていく、著者の得意とする展開が面白い、が最後の決着は今一だ。
東野圭吾著「ブルータスの心臓」、都内で有数のM M重工の社員である美人の社員を巡り企画室長と技術士の二人彼らはロボット技術屋だ、彼女から妊娠を打ち分けられた3人は協力した彼女の殺害を計画する。当日になって運ばれて来た死体は彼女でなく室長だった。そしてもう一人の技術屋が殺害される生き残った技術屋拓也は犯人探しを開始するが要として犯人を探し出す事ができなかった。終盤まで縺れた糸を絡ませながら最後の決着はあっさりと、これについては不満である。
畠山健二著「新 本所おけら長屋 三」、三篇を含む短編集である。それぞれが珠玉の短篇で新本所おけら長屋になってから著者の腕が上がったと思えるほどの出来栄えで感動しました。
池井戸潤著「ハヤブサ消防団」、著者の今までの作風とちょっと違うと感じた本書は600ページに及ぶ長編である。中部地区の田舎の町に引っ越した作家の三馬太郎は地元住民との付き合いで消防団に入団した。不審な火事が頻発し死者まで出るという始末、疑問に思った三馬は独自に調査を開始頻発する家事の裏に裏に新興宗教団の陰謀が見え三馬の周りの人々の中にも深く浸透していた。

金曜日, 5月 30, 2025

アンソニー・ホロヴィッツ著「死はすぐそばに」、ロンドンはテムズ川そいの高級住宅街リバービュークロースここに6件家があり住民同士は互いに仲良く生活していたが、新しい住民が越して来たところから俄然住民同士が騒がしくなり滔々殺人事件にまで発展した。例によってホーソーンが駆り出され捜査を開始し犯人は簡単に特定できたがそれだけでは終わらなかった。最後は驚くべき真実が判明、冗長性は否めないまでもさすがホロヴィッツという感じで面白く読んだ。
文芸フェスで招待されたホーソーンとアンソニーはトークショーを終了後に殺人事件に出会した被害者は地元の名氏であるメジュラーとさらに婦人のヘレン早速地元警察と協力して捜査に乗り出した。怪しいと思われた容疑者は消え最後に判明したのは意外な人物だった。アンソニー・ホロヴィッツ著「殺しへのライン」、
アンソニー・ホロヴィッツ著「ナイフをひねれば」、峻烈な劇評価で知られる女史が刺殺された、折下アンソニーの「マインドゲーム」という公演中でありしかも贈り物として頂いたナイフで殺害されたという最悪の結果となった。アンソニーへの警察の追及が始まりどうすることもできない窮地に立たされた。こんな時に頼るのは探偵のホーソーンしかいないホーソーンの捜査が開始され結果は過去に起こった殺人事件の関与からという事実だった。
井上夢人著「プラスティック」、まさに読者を翻弄する一冊だ。殺人に絡む関係者の証言記録が次々に展開され犯人と目される証言の内容が支離滅裂に右往左往し翻弄され最後には何がなんだかわからないままで読了。こんなにも複雑なロジックは前代未聞のミステリーだ。
白川尚史著「ファラオの密室」、古代エジプトを巡る人間ドラマである。上級神官であるセティは墳墓の崩落により命を落とし冥界へしかし冥界での審判に心臓が欠けていることを指摘され再び現実へ戻り欠片探す必要があった。この辺りの古代エジプトの死生観が出ている。ファラオと神官と警察隊そして人民と入り乱れ錯綜する社会でも人間の真そして愛を描いていく。
夕木春央著「方舟」、6人の男女が森の中で到達したのは、古い地下に埋まる三階建ての建築物だった。地下一階、二階には十数の部屋がありまた倉庫や機械室があり地下三階は水で埋まっていた。それぞれが探索して眠りについたが、地震で目が覚めた同時にこの建物に入ってきた蓋が大岩で塞がれてしまった。この異変を境に殺人事件が発生し疑心暗鬼に陥った面々は次の殺人に」遭遇さらに次の殺人へと連鎖してゆく。果たして犯人は?。最後にはどんでん返しが待っている。

水曜日, 4月 30, 2025

青山美智子著「赤と青とエスキース」、6編の短篇集だと思いきや最後のエピローグまで緩い繋がりを持って進んでいく物語だ。各章もそれぞれの人物に光を当て人生の苦悩を描いてゆく。執そうや悲嘆苦悩が簡潔に描かれエピローグへと進んでいく。
木爾チレン著「神に愛されていた」、 京大に在学中に文壇デビューを果たした沙理は、沙理の後ろ姿を追う天音に段々と嫉妬を覚え苦悩する沙理孤独感憧憬そして小説にも興味を無くすほどの倦怠感と自己否定崩れていく精神そして絶望の淵へと自らを追い込んで死への憧憬へと、同じく天音も沙理の不調を知り苦悩する。人生の苦悩のあらゆる局面を描いた作品は珍しい。
道尾秀介著「N(エヌ)」、6編短編から成る短編集であるが、どこから読んでもいいという不思議な本書である。各章は不思議と緩く関連すけられミステリー感はまるでないが読後戸惑うような不思議な感じである。
マーク・グリーニー著「暗殺者の屈辱 下」、列車内での壮絶な戦闘で辛くも車外に放り出されたジェントリーだったがかろうじて奇跡的に生き延びた。その後データを会計士に渡し分析解析を依頼して完成前に会計士の家族が誘拐拉致された。これを救出すべきジェントリーはロシアによる戦闘員との激しい戦闘で辛くも相手を倒し目的を遂げた。同時進行する様々な戦闘状況読者を翻弄すること必須な本書である。
マーク・グリーニー著「暗殺者の屈辱 上」、重要な情報を巡りロシア系の暗殺部隊と戦うフリーランスの暗殺者入り乱れての激しい戦闘様々の移動手段での戦闘は濃密で読者を圧倒する迫力で就いていくのがやっとという感じである。スイスはジュネーブに向かう列車の中で双方が乗り合わせ睨み合いが続く。
笹沢佐保著「眠れわが愛よ」、村雨敏夫は、妻礼美を石垣島へ行く飛行機の墜落事故によって失った、その直後から次々と起こる身内或いは関係者の死亡に遭遇した。まさに動機なき殺人或いは自殺と見做された。しかし最後は村雨の友人である日下部によってどんでん返し的な結末によって犯人がアカサアレタ、著者のこれまでに見ない結末だった
笹沢佐保著「そんな恋ならやめなさい」、30数年前に書かれた本書だが、この世の中男と女しかいない著者の恋愛と結婚観そして人生観さらに社会への批判にも繋がるエッセイで面白くよんだ。
宿野かほる著「ルビンの壺が割れた」、手紙形式のやり取りで相互にメッセージのやり取りで物語は進んでいく。かなり際どい表現も入り終章に進むにつれてなんだ?と思うようになり最後は幼女誘拐殺人者として生ける中年の男という事実にまさにどんでん返しだ。

日曜日, 3月 30, 2025

笹沢佐保著「悪魔の剃刀」、日本WHM社の広告宣伝課に勤める海老沢は、課長代理の安芸が、無断欠勤していることにきずいた、その後安芸課長代理は死体となって発見された。さらに安芸を慕う女性の白骨死体、海老沢は真相解明に乗り出すが。。
大手観光会社万福観光会社の自家用機のパイロットをしている朝比奈は、九州から東京に戻る途中燃料切れで海上に墜落する離島の漁師に救出されるが失語症になってしまった。東京に戻った朝比奈は自分がすでに死亡届がだされており同乗した社長が死亡したことを知る。笹沢佐保著「沈黙の追跡者」、
笹沢佐保著「その朝お前は何を見たか」、元ジェット機のパイロットだった三井田は、現在トレーラを操る長距離トラックの運転手だ、パイロットを辞めてから妻との折り合いが悪く沙織は滔々小学一年生を置いて家をでていってしまった。誘拐事件が発生し犯人の声がラジオから流れた、その声を聴いて蒸発した妻、沙織の者だと確信する三井田は妻の捜索に全力を傾けるが。。
笹沢佐保著「悪魔の階段」、著者の悪魔シリーズ7作目に当たる本書は本領発揮的官能ミステリーである。女性心理を深く探り緻密な官能表現そしてミステリーとして極上なのだ、最後の落ちは良く考えられどんでん返しが待っている。
笹沢佐保著「地獄の辰犯科帳」、 深川堀川町辰造親分は地獄の辰と呼ばれる腕利きの岡っ引きだ普通の倍の長さの鉄製の長十手を持ちがむしゃらに事件を追うはみ出し岡っ引きだ。その辰造親分を巡る痛快時代劇だ。
岡本さとる著「仕立屋お竜 巡り合い」、暗いか過去を持つお竜だが師匠である佐兵衛に剣術指南を受け今や立派な使い手である。普段長屋の一間で仕立てをしながら暮らしている彼女の周りには金糸元の文左衛門を始め世話を焼いてくれる人たちがいる。様々な事件を暖かい目で見守る仕事人だ。
笹沢佐保著「悪魔の関係」、香代の夫五十嵐は長野県は諏訪湖の湖上に浮かぶボートの中で16歳も年下の愛人と服毒自殺つまり心中をして亡くなった。そして初七日に五十嵐の愛人の元カレと香代は関係を持ってしまう香代は末吉乙也にのめり込み心身ともに強烈な快美感を味わい溺れていくそんな女の心理を深く抉る著者の官能ミステリーまさに本領発揮だ。そして最後にどんでん返しがちゃんと用意されている。
笹沢佐保著「一茶人情捕物帳」、深川の本行寺に居候として暮らす若き日の小林一茶は、自らを弥次郎兵衛と名のり北町奉行所同心片山九十郎の犯罪捜査の知恵袋とされ、様々な事件に解決の糸口を見つけ出し片山九十郎を助けていた。6編含む短編集である。
中島久枝著「おでかけ料理人」、江戸は太平爛漫時代に、出没した出張料理人つまりおでかけ料理人は特別な日の庶民の出張料理人だった。料理の材料はもとより鍋釜や調味料までも背負いた九人の家へ向かう。そんな料理人の佐奈は心根の優しい女子であった。江戸庶民の義理と人情に恵まれ日び性おだすさなであった。
笹沢佐保著「八丁堀お助け同心秘聞」、北町奉行同心である尾形佐門次は、通常殺人事件を 捜査する同心と違い高積みまわり同心という閑職についている。しかし佐門次には犯罪に対する嗅覚というか生まれもったものをもっていた。管内で発生する事件に対してその機転は定回り同心感心させるほどだった。しかし役職から手柄はすべて見回り同心のものとなる。

金曜日, 2月 28, 2025

笹沢佐保著「悪魔の沈黙」,父親に頼まれたゴルフクラブを届けるべく八王子郊外にむかったのだが、そこで道に迷い女子高生二人に金をせびられた必死になって若原絵里子はクラブを振り回し二人を殺害したと思った。それを見ていたと思われる男に拾われ自宅まで送ってもらう。数日後にその男に声を掛けられ彼のマンションへとそして肉体関係を強制され二人は結合する。著者の本領発揮的な官能ミステリーだ。ただそこには人間不信と人生の孤独が見られるまさに傑作だ。
江戸期には北と南町奉行所に定廻り同心は十二名いたというその定廻り同心を1名ずつ取り出し6話からなる時代ミステリーである。面白く読ませてもらった。
笹沢佐保著「女神の雪降る夜に死す」,幸せの絶頂にあった二人の男女が女神湖畔で殺害された恵美の友人だった、さらに殺人が続く恵美は推理力を発揮して事件解決へと邁進する。何の物証もない殺事件からの解決へと導くその過程を存分に楽しめるミステリーであった。
笹沢佐保著「なめられた女」,ある日弁護士一家座間家に一人の中年の女が転がり込んで来た佐竹律子と名乗った。座間家の長女麻紀は強烈な不快感を覚え父の弁護士事務所の若手弁護士の若林に相談し律子なる人物の調査を開始するそこで判ったのは母芙美代と律子との関係だった。些細な動機からミステリーに発展させる著者の天才的思考には驚愕させられる。
笹沢佐保著「悪魔の剃刀」.先端企業のWHM社の課長代理が死亡した専務から真相究明を指示された海老沢は真相を求めて右往左往するが杳として真相に近づけない日々を送る。そして課長代理を慕う女性の白骨死体が発見される。名探偵登場というミステリーでもなく一介のサラリーマンを主人公とした推理小説は面白い。
東野圭吾著「11文字の殺人」,女流推理小説家に纏わる不可解な連続殺人事件に翻弄れる彼女は一体解決をできるのか?スポーツジムを経営する社宝の提案で企画されたクルーズ旅行で遭難という事態に直面し海に投げ出された乗客は泳いで島にたどり着いたしかし参加者の一人が死亡したことに始まる連続殺人事件愛する人を亡くした喪失感と恋人を殺された犯人に対する 憎悪それが引き金となり復讐に燃える女性の究極の愛と報復。
笹沢佐保著「遙かなり蒼天」,短編集である。様々なシチュエーションと卓越せるプロット著者ならでは落ちと非常に面白く読んだ。
笹沢佐保著「破壊の季節」,有名大学へ入学した3人の兄弟と絡む女性、そして世の中は大学闘争で全共闘が活躍していた。長男のフィアンセ芙美代は長男裕一と結婚する筈だったが次男裕次に関心を持ち彼が殺人を漏らした言葉を聞き動揺し真意を探ろうと腐心した。そして何と兄弟3人は次々と死んでゆく。
三木達二の残した遺産は土地建物及び有価証券t合わせて30億円にもなる、この遺産を妻と三人の子供そして達二の愛人に生ませた子供がいて一人された弁護士北原が仕切っていた。莫大な遺産を巡る対立は徐々にエスカレートしていく血縁を織り交ぜ意外な展開へと。