水曜日, 3月 26, 2008

堤 未果「ルポ貧困大国アメリカ」を読んで。

現在のアメリカの貧困ドキュメントとでも言った内容であるが、正に圧倒される内容である。TVのニュースなどメディアで意識したアメリカ像がこの本ではっきりとした。教育、医療から戦争まで、貧困を原因とするアメリカ社会の現実が見える。「新自由主義政策」の名の元に、全て民営化しその弊害が蔓延し果ては新たな貧困層を生むスパイラル状況である。大学を奨学金にて入学し卒業と同時に請求書が届く、このローンを払い続け、一端退職したら自己破産だ。金を欲しさに、軍隊に入隊し戦争へと黒人、マイノリティー、ヒスパニック系人にとって、戦争へ行って借金を払う。そしてさらに厳しい状況はイラクの戦争へ行くこうした人たちが、実は派遣労働者でもあるという。チェイニー副大統領が以前いた派遣大手の会社から下請け、孫請けさらにという具合にして、派遣会社が9.11以降個人情報の流出を利用し勧誘する。丸6年にも及びイラク戦争でアメリカ人の死者は4000人を超えていると報道されているが、こうした派遣労働者の現地での死者は数にはいっていないという。膨大な戦費の肩代わりに、最低限必要な公共サービスまでもが、民営化されていく成れの果ての現実を思い切り見せ付けられた印象である。(評価★★★★★)

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