土曜日, 1月 30, 2021

松本清張著「生けるパスカル」、2編を含む短編集である。前半の「六畳の生涯」は、長野から連れ合いを亡くし開業医の長男の6畳間に身を寄せる79歳の老人の物語で寂寥と孤独に苛まれ次第に家政婦に異常な情熱を燃やす老人の心の変化を見事にミステリー風に描いたものだ。後半の「生けるパスカル」はイタリアのノーベル文学賞作家の書いた小説を元に、芸術家の妻の凶暴でヒステリック性に辟易して生活している美術家の妻の殺害に至る経緯を書いたミステリーで共に傑作である。

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